イギリスの学校

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プロフィール

haykichi

Author:haykichi
本名:『山下かよ子』
Kayoko Yamashita。

日本で小学校の教員として通常学級と特別支援学級で勤務したのち、夫の海外転勤で渡英。イギリスではプリ・スクールで働き、今は小学校でLanguage Assistantとして勤務。
Nottingham 大学でSpecial Needs Education (特別支援教育) 修士号取得 (2012年)。
Jolly Learning 社のJolly Phonics と Jolly Grammar の公認トレーナー(2013年)。

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イギリスの学校での保護者の役割

2011/10/28 (金) 08:00
いつもコメントくださっているむーぼさんから、ぜひ、【イギリスの学校での保護者の役割】について「イギリスの学校」に載せてはいかがですか、と提案をいただきました。ありがとうございます。

むーぼさんの声:

日本の学校では、保護者は何かとPTA活動に関わらなければなりませんね。
イギリスの公立校でも役員が回ってくるの?と来英された方から時々聞かれます。

私の理解では、イギリスでの保護者の関わり方は、
1.PTA、2.ディナーレディーまたは校庭監視役(名称分かりません)、3.スクールガバナー
の三種で、このうち、
1.はやりたい人が声をかけあってやっているようで、少なくとも私には話が来ません
(そもそも親が集まる懇談会のようなものもないですし)。仕事は主にイベントの企画運営のように思います。

2.は、ときおり募集のチラシが家庭に届き、お給料?があること、学校で子どもの様子が見られること、スクールタームだけ働けること、の理由から興味を持つ人がいます(私もその一人でした)。でも英語(特に子どもたちの)がね・・・仲裁もしなくちゃならないだろうし・・・と考えると尻込みしてしまいます。実際のところ、どんな活動をし、どのぐらいの英語が必要なのでしょうか。私自身は、文化によって善悪やマナーの判断に違いがあるんじゃないか、というのも少し心配でした。

3.は、イギリス人の知人から説明を聞くまでさっぱり分かりませんでした。
日本人には縁遠い活動ですが、私はガバナー職に対する保護者の熱意に驚いています。

余談になるのですが、先日3名が任期満了になり、募集を行なったところ、12人もの立候補があったのです。
それぞれ自分のプロフィールと立候補のわけをアピールしたプリントが配られました。
投票の結果、2名は現職が再選、1名は6、3、2才、10ヶ月の4人のお子さんがいる女性が選ばれたのです。
幼児を抱えた人が無償であるガバナーに立候補することも驚きなのに、さらに選ばれたことは私の理解を超えていました。
知人は、やりがいがあるし職歴のひとつになる、というようなことを言っていた気がしますが
なぜガバナーはそれほど魅力的な仕事なのでしょう。




まず、上記の質問に答える前に、イギリスでは保護者が学校に行く機会を挙げてみます。

a) 子どもの送迎 (Year 5 くらいまで)
b) ペアレンツ・コンサルタント (ペアレンツ・イブニング)=保護者会
c) 子どものアセンブリー (集会) やクリスマスパフォーマンスの観劇
d) 各学年で開かれる学習ミーティング

でしょうか。日本と違い、授業参観もありませんし、学級懇談会というものもないし、c)と d) に関しては、参加自由ですので、正直、先生と顔を合わす機会とはほとんどありません。家庭訪問も、Early Years だけ行われるようです。何もしなければ、何もしないまま終わります。

逆に保護者として積極的に関わりたいと思われれば、むーぼさんが書いてくださっているように、いくつかの方法があります。
では、むーぼさんの声に、少しだけ補足をさせていただくと・・・

1. PTA
最近では、Friends of XXschool と呼ばれることもあるようですが、PTA の P (Parents) がメインに活動をします。学校への募金のため、さまざまなイベントを企画・実行します。今日、たまたまあったのが、Cake Bake と言い、子どもたちにカップケーキなど (手作りでも買ったものでもよい) を持ってきてもらい、それを販売し、収益金を学校の設備などに活かすという催し。
メンバーになるためには、選挙があります。自他推薦で立候補できます。また、メンバーにならなくてもお手伝いしてみたい、という人は、メンバーに声をかけてみてください。何かしら、参加することができると思います。


2. ディナーレディー または ランチタイム・スーパーヴァイザー
お昼ご飯の1時間は、先生もティーチングアシスタントも休憩時間になります。つまり、子どもたちが食事をするのと遊んでいる様子を監視する人が必要となり、それがディナーレディーと呼ばれる人たちの仕事となります。
ホール (体育館) でランチを食べる学校では、テーブルやいすの出し入れ、食事後の掃除も行います。
子どもが安全に過ごすように監視をしているので、当然、けんかの仲裁にも入ります。また、いたずらをしていた子どもを注意したり、いきすぎれば、先生にも報告をします。
ディナーレディーの英語力ですが、子どもを注意することもあるので、そこそこの英語力は必要です。文化による違いというより、イギリスでの常識と日本のそれが違うという点を留意しておかないといけないかと思います。

ただ、残念なことに、子どもたちの中にはディナーレディーのことを先生とは違うから、ということで、軽く見る子もいます。特に年齢が上がるにつれ、その傾向は大きくなるようです。
私の知人の日本人も一時、ディナーレディーのお仕事をしていたそうですが、まずは「英語を馬鹿にされた」そうです。そして、注意しても無視されたり、馬鹿にされたりしたそうです。あと、悲しいのが、どうしても子どもを褒めるよりも注意する方が多いので、子どもとネガティブな関係になってしまうということ。みんながみんなそうではないと思うのですが、ネイティブではない私から見ると、大変な仕事だな~、と感じます。


3. ガバナー governor
イギリスでは組織などの管理者のことをガバナーと言います。つまり、スクールガバナーというのは、学校を管理する人たちの組織。学校がきちんと経営されているか、カリキュラム通り授業が行われているかなども管理します。時々、授業参観に来ているガバナーもいます。また、校長や教頭の採用もガバナーが面接を行って決めるのです。
また、子どもが学校から処分を受けた場合、保護者はガバナーに訴えることができます。すると、ガバナーが会議を設け、その処分が適切かどうかを判断します。要は裁判所の役割です。

構成員は学校によって違うそうですが、保護者、学校のスタッフ、地域の人、教育委員会の人だそうです。
いかに大きな役割かお分かりいただけると思います。イギリスではイギリス一大きなボランティアグループととらえらているようです。つまり、これだけの大きな仕事を無償で行うというところに敬意を払われ、おまけにその学校がいい評価をもらったら、それはガバナーの役割も大きいと評価されるわけなのです。
当然、これだけのことをするのですから、履歴書にも堂々と書けますね。
*私にも声がかかったのですが、最低月1回のミーティングに参加できないので断りました。今思うと、やってみてもよかったかな~と感じます(笑)。



さて、これ以外にも、
・ペアレンツ・ヘルパー
として学校にかかわる方法があります。
これも学校によってだと思いますが、週に1回など、ボランティアでお手伝いをお願いしています。子どものリーディングを聞いたり、鉛筆削りやノートの整頓、図画工作のお手伝いなどを主にします。ボランティアと言えど、先生たちもこのお手伝いに頼っているところもありますので、始めたからには責任を持って行ってください。そして学校内で見たことなどは一切他言してはいけないということももちろん守ること。また、CRB (Criminal Records Bureau: 犯罪歴があるかどうかを確認する書類) を持っていることを求められこともあります。
また、子どもたちが遠足にでかけるときには、学校の方から引率をお願いされることもあります。
このペアレンツ・ヘルパーが学校の様子を知る一番いい方法かなぁ、と感じます。
興味があれば、先生に声をかけてみるといいかもしれません。


・アフタースクールクラブ
放課後教室として、何か教えることもできます。日本人だと折り紙教室や日本語教室など子ども用に開くこともできますね。


今回、こうしてご質問をいただき、私も改めて学校の仕組みなどを見直すことができました。特に、私自身、学校で働いているものの、自分には子どもがいないので、保護者の方の視点がわからないのです。ですので、こういった質問をいただけるととてもうれしいのです。
むーぼさん、感謝です!
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