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プロフィール

haykichi

Author:haykichi
本名:『山下かよ子』
Kayoko Yamashita。

日本で小学校の教員として通常学級と特別支援学級で勤務したのち、夫の海外転勤で渡英。イギリスではプリ・スクールで働き、今は小学校でLanguage Assistantとして勤務。
Nottingham 大学でSpecial Needs Education (特別支援教育) 修士号取得 (2012年)。
Jolly Learning 社のJolly Phonics と Jolly Grammar の公認トレーナー(2013年)。

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子どもを連れてイギリスへ来るということ

2011/10/15 (土) 08:00
このブログを始める前から、時々、質問を受けることがありました。
「子どもを連れてイギリスへ行く予定ですが、どんなものでしょう?」
と。

とても難しい問題だと思います。お子さんが小さいうちは、大変なりにも「学校の問題」という点では、渡英しやすいと思います。お子さんが小学生、中学生・・と年齢が上がるにつれて、悩まれる方も多いのではないでしょうか。

さまざまな点で考慮していただきたいことを挙げてみたいと思います。

・滞在期間
・日本とイギリスとの学年の違い=授業の進み方の違い
・英語力
・お子さんの性格

これらのことをまず考えて、いくつかポイントをお伝えしてみたいと思います。

・中学卒業くらいのお子さんの場合

日本では中学3年生までが義務教育。イギリスでは Year11 (16歳) までが義務教育です。この義務教育最後の年にGCSE (General Certificate of Secondary Education) という、全国統一テストを受けます。これは、義務教育最後にどれだけカリキュラムを達成できたかを見るテストで、この結果によって、次の 6th form に進めるかどうかが決まったり、履歴書にも記載することがあったりします。学校も、このテストに向けて必死に授業を行います。 ですので、日本の中学校を卒業して渡英されて、セカンダリーに編入できたとしても、正直、授業は全くついていけません。

ちょうど中学生のママさんから質問をいただいたので、日本でいう中学生のお子さんを持つイギリス人のお母さんたち、そして学校に勤めているスタッフ数人に聞いてみたところ、
「全ての授業に通訳がついてくれるのなら、授業も分かるだろうけれど、公立の学校ではほぼ通訳は望めないだろうね。おまけに、英語がほぼゼロの状態からじゃ、テストも難しいだろうね。」
とのこと。

その後 6th form に進めないとなると、大学進学も難しいですので、日本へ帰国した場合 (年齢にもよりますが)、高校未経験となってしまうこともあるのです。

日本の中学3年間で学習する英語のレベルですと、簡単な文を書いたり読んだりすることはできると思うのですが、語彙数が圧倒的に足りません。宿題に出るレポートも A4 用紙に2 ~ 3枚ほど出るといいます。
ただし、私立ならそれなりのスタッフもいるだろうから、全く無理と言うわけではないだろう、とのことでした。この年齢のお子さんですと、近い将来のことも考慮に入れて、渡英を計画されるといいかと思います。

・小学高学年~中学前半

日本で小学高学年とということは、イギリスではいきなりセカンダリーに入学ということもあり得るということ。授業は一気に難しくなります。何が難しいというと、書くことが多い、それも説明や意見を述べる文を多く書くということ。読む量も半端ではないので、それについていくことは、難しいでしょう。
ただ、イギリスの学校生活を体験、という言う意味で1~数年の滞在ならば、いい経験になるかも・・・という声を聞きます。
あと、友達関係がうまく作れるか、というところもポイントになります。特に女の子ですと、おしゃべりが中心になってくるので、その輪に入れなくて悩む、と言う子もいるそうです。
でも、よく聞くのは、大抵、どのクラスにも親切にしてくれる子がいて、いい関係を築くことができるということ。いじめから守ってくれるということも聞きます。
また、たとえ1年だけの滞在としても耳は育つし、毎日英語に触れるわけですので、英語の力は伸びることは間違いありません。ただし、きちんと英文法のサポートがあったら、の話ですが。

・小学中学年

イギリスのYear 4~ Year 6 に相当します。
英語がほとんどできない状態で来た場合、最初の半年くらいは (サポートがない場合だと)、わけわからずに過ぎていきます。1年経ったところでも、何となく言っていることがわかるかな?というくらいです。渡英して半年くらいは、親御さんも不安なまま過ごされているようですが、数年後には「この心配はなんだったの?」というくらい、力が付いています。もちろん、日本語で英語のサポート (文法の説明や単語) をしてあげることが大前提になりますが、数年も経つと書くことも話すことも相当力が付きます。

・小学低学年

イギリスの Year 2~ Year 4に相当します。
もちろん、お子さん自体、英語が分からない状態から始めるので、かなり大変です。算数では日本より進んでいる部分が多いので (図形、分数、少数) とまどう反面、計算は日本人のお子さんは早く正確にできるので、「自信」を持つこともできる分野です。英語は3年もしたら、読む力は相当つくかと思います。書く方も、the とか some など英語独特の文法や言い回し方が不自然ではあるけれど、問題もあまりなくなってきます。
簡単なことなら日本語での文法の説明も理解できます。
子どもたちは、まずは日本語で考えてから英語に訳していきます。基本的なことを教えてあげると、それをもとにして、応用できるようになります。

・幼稚園

イギリスでは5歳になる年から Reception というフルタイムの学校生活が始まります。イギリスでもまだ、幼稚園と言う名前なのですが、政府がお金を援助してくれるので、ほぼ全員の子どもが学校生活を始めます。
最初は全く英語もできないお子さんでも、遊びを通してどんどん英語が身に付きます。そして、英語の授業もフォニックスの勉強など、ゼロから学ぶことができるので、1年もすると、ある程度耳が慣れて、早い子だと話もできるようになってきます。
問題はグラマーなどが理解できないため、耳からの英語に頼った英語を習得してしまうこと。かなりおかしい文になっています。He don't eat apples. とか You is my friends. などなど。



それぞれの年齢での渡英は一長一短があると思います。
年齢が大きくこちらへ来た子で、イギリスが大好きになり、親が帰国しても、一人寄宿舎生活で暮らしていた子もいます。イギリスへ来て、性格が変わったという話も聞きます。
また、家族がぐっと仲良くなったとも・・・。

話を聞いていると、
「絶対、主人が家族一緒じゃないといやというので・・・」
と言って、お子さんを連れてくることもあるようですが、残念なことにお子さんが馴染めずに、軽いうつ病になってしまったケースもあります。
渡英するのもせっかくまたとないチャンス。お子さんの将来、学業、性格を考慮して、ご家族で話し合って準備を進められることをお勧めします。
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