イギリスの学校

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プロフィール

haykichi

Author:haykichi
本名:『山下かよ子』
Kayoko Yamashita。

日本で小学校の教員として通常学級と特別支援学級で勤務したのち、夫の海外転勤で渡英。イギリスではプリ・スクールで働き、今は小学校でLanguage Assistantとして勤務。
Nottingham 大学でSpecial Needs Education (特別支援教育) 修士号取得 (2012年)。
Jolly Learning 社のJolly Phonics と Jolly Grammar の公認トレーナー(2013年)。

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掛け算:知っておきたいこと

2011/08/07 (日) 08:00
下の文章を掛け算の式で表してください。

子どもが8人います。全員の子ににクッキーを3枚ずつあげると、クッキーは全部で何枚いりますか。






もちろん、             3 × 8 = 24           ですよね。

ところが、イギリスの学校では、 8 × 3 = 24         と教えるのです。 

なぜでしょう・・・・?今回は「掛け算の不思議」についてです。

知っておきたいこと その1 言葉の違いによって式も変わる

日常の生活で、郵便局で切手を買うことを想像してみてください。
日本語では「50切手3ください。」と言いますよね。この数字をこのままの順番で表すと 50 × 3 ですね。

同じ文を英語では「Three fifty-pence stamps, please.」と言いますが、この数字の順番通りに書いてみると、3 × 50 となります。

おわかりですか?式が「発する言葉通りの順番」になっていることが。

日本人の子どもたちの多くは、式を作る段階で混乱します (私も!)。でも、日本語と英語では式の作り方が違うんだよ、と一言説明してあげるだけで、子どもたちの混乱が少しでも軽減されます。と同時に、言葉によって違うんだ、と納得します。

知っておきたいこと その2 九九の違いについて

日本での九九            イギリスでの九九 (times table:掛け算表)

  2×1=2                  1×2=2
  2×2=4                  2×2=4
  2×3=6                  3×2=6
  2×4=8                  4×2=8
   ・                      ・
   ・                      ・

ん?日本と かけられる数 と かける数 が逆転している!!
日本語では
          子ども二人のグループが1組、
          子ども二人のグループが2組、
          子ども二人のグループが3組、
          子ども二人のグループが4組

というように、かける数がどんどん変化していきます。これがそのまま日本式の九九になっているということ。
一方、英語では
          one group of 2 children,
          two groups of 2 children,
          three groups of 2 children,
          four groups of 2 children

というように、最初の数がどんどん変わっていきますが、もとになっている「子ども2人」は固定したまま。これは、 上記その1 でも説明したように、言葉の違いから成り立つものなのです。

ちなみに、英語で日本の九九のようなリズムを持って覚えるという方法はありません。ひたすら
one times 2 is 2
two times 2 is 4
three times 2 is 6
と言うだけ・・・。

知っておきたいこと その3 掛け算は12の段まである

最近では10の段まででO.K.というようになってきたそうですが、それでも根強く12の段まで覚えさせる学校もあります。
なぜ12の段までかと言うと、これは生活文化からきているんです。

みなさんになじみの深い1ダースということば。鉛筆1ダース=12本というのは周知の通り。このダースということば、もとはラテン語の duodecim という言葉に由来するそうですが、このラテン語を基にしている多くのヨーロッパ言語では、12をもとにすることが多いのです。
身近なところですと、卵のパック。スーパーで売られているものを見ると、日本では卵は普通、10個入りですよね?イギリスでは12個入りまたはその半分の6個入り。12を単位としていることがお分かりかと思います。(他にも12を基にしていると言えば、12か月、星座、時間などなどたくさんありますね!)

また、数字を英語で言ってみると
one, two, three ・・・ten, eleven, twelve, thirteen, fourteen・・・
なぜか13から teen とつき、11と12はちゃんと、それ固有の言い方があるということ。日本語では11、12は十一、十二となっているのに。これだけ12までが特別扱いされていることがわかるかと思います。
こうして掛け算も12までが必要となったわけです。

イギリスの学校の教室に貼られているポスター。
12tables表
(http://www.entershop.co.uk/numeracy-math-posters/times-table-numeracy-math-poster.htmより)


hundred square ならぬ、times table square ですね。
掛け算表


知っておきたいこと その4 九九は一気に覚えなくてもよい

日本では小学校2年生で九九を学習しますが、たった数カ月の間に1の段から9の段まで一気に覚えますよね。これ、すごいことなんだと、今更ながら感じます。
イギリスでは、何年もかけて徐々に覚えていけばいいのです。子どものペースによって、Year6 (10-11歳) までに10の段が制覇できればよしとされます。最初は2, 5, 10 の段を覚え、次に3, 4 の段、そして、6, 7, 8, 9 と順に覚えていきます。覚えきれなくても、授業の問題に10の段までの計算が出てくるので、子どもたちは計算が遅々として進みません。それに比べ日本人の子は、転入して来て英語が分からなくても、九九が速い!と驚かれます。
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