イギリスの学校

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プロフィール

haykichi

Author:haykichi
本名:『山下かよ子』
Kayoko Yamashita。

日本で小学校の教員として通常学級と特別支援学級で勤務したのち、夫の海外転勤で渡英。イギリスではプリ・スクールで働き、今は小学校でLanguage Assistantとして勤務。
Nottingham 大学でSpecial Needs Education (特別支援教育) 修士号取得 (2012年)。
Jolly Learning 社のJolly Phonics と Jolly Grammar の公認トレーナー(2013年)。

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ORT の落とし穴と上手な使い方

2013/02/20 (水) 20:52
今やイギリスの小学校だけでなく、日本の親子英語をしている方たちにも大人気の Oxford Reading Tree のキッパーシリーズ。以前、こちらで無料の eBooks が閲覧できることをご紹介しました (ORTの無料eBooks)。このeBooks、イギリスへ来たばかりのお子さんから日本へ帰国後の英語維持のためにもとても使える教材だと思います。

さて、今日は、ORT の落とし穴について少しお話ししたいと思います。

ORT の落とし穴その1:ひっかけ単語が満載
イギリスの小学校では、英語の授業はまずフォニックスから勉強を始めます。音と綴りの関係をきちんと学ぶことが必須です。この関係を学んでいくと、自分で本が読めたり、文が書けたりしていく、読み書きの基本をつくるものです。日本で言う「ひらがな」を学習することと似ていますね。
しかし、ひらがなと大きく違うのは、
・ひらがな=一文字一音 (例外として「は」「へ」)
に対し、
・アルファベット=一文字数音
であること。
つまり、たとえフォニックスを習ったとしても、読めない・書けない単語が多いということなのです。

ORT を例にしてみると、こちらは・・・
Oxford Reading Tree Read with Biff, Chip, and Kipper: First Stories: Level 1: Up You Go (Ort)Oxford Reading Tree Read with Biff, Chip, and Kipper: First Stories: Level 1: Up You Go (Ort)
(2011/05/05)
Roderick Hunt

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Level1 の本で、中身は up, you, go, no, Kipper, Chip, Biff, Dad の8単語のみで構成されています。
この中で、フォニックスを習い始めた子どもが読めるものは・・・と言うと、up, Dad のみなのです。
Chip, Biff, Kipper はフォニックスを習い始め、半年近く経ったら読めるようになり、残りの you, go, no は tricky words (ひっかけ単語) となり、暗記しなければならない単語なのです。

実は、この ORT シリーズ、Level 1-2 で is, who, oh, said, the などなど、ひっかけ単語が出てきます。でも、よく見ると、こうした単語って一番よく使われる High frequency words (頻出単語) なのです。つまり、残念ながらフォニックスの力があっても読めないものとして取り扱われている単語なのです。子どもにしてみたら、フォニックスを学習することで少し読める力がついてきたのに、この ORT が読めない!という悲しいことが起きるのです。

ひっかけ単語が満載⇒解決法:家庭では
お家でのサポートとしては、上記頻出単語を紙に書き出して、子どもと一緒に覚えていきます。最初は、書く練習はせずに、単語が正しく読め、そして意味が分かれば O.K.です。カードなどを作って覚えていくといいかもしれません。このとき、きちんと日本語で意味を教えてあげてください。

ひっかけ単語が満載⇒解決法:学校では
この頻出単語をキーワードとして子どもたちにフォニックスの学習とは別に教えていきます。キーワードが書かれたカードをを1回につき7~10個ほど読みます。お家に持って帰って、家でも読む練習をします。学校で再びテストをして、全部合格すると次のキーワードをもらい、またテストをして・・・を繰り返していきます。学校ではこのようにして、フォニックスでは読めないひっかけ単語を必ずサポートして、リーディングができるようにしているのです。


ORT の落とし穴その2:すらすら読めても理解していない
私の長年の経験上、日本人の子どもは「暗記が得意」です。この ORT の本がすらすらと読めるようになるのには、それほど時間はかかりません。しかし、ここが二つ目の落とし穴。読めたからといって、内容を理解しているとは限らないということ。多くのお母さん方は、子どもがすらすら読めていると、それで安心してしまい、内容理解までサポートをしないのです。
今まで、何百人といういろいろな国の子どもを見てきたのでわかることなのですが、日本人を含めた多くの子どもたちは (英語話者であっても) 内容を理解していません!ためしに、日本語でいくつか質問をしてみましょう (質問内容の例はコチラから⇒読解力を育てる)。
本は理解して読むものです。ただ読めればいいのではありません。

すらすら読めても理解していない⇒解決法:家庭では
最初のころは、子どもが1ページ読むごとに、日本語に訳させましょう。このとき、内容が理解できていることが大切なので、直訳でなくても構いません。そして、日本語でいいので、いくつか質問してみましょう。
・誰が出てきた?
・みんなはどこへ行くの?
・どうしてそこへ行くの?
というように、疑問詞:who, when, where, what, why, how (いつ、どこで、だれが、なにを、どうして、どうした) を使用して質問すること。
日本語での理解が大丈夫だと判断できれば、英語での質問をしていきます。
また、先述した eBooks では、アクティビティがいくつか用意されています (例1/例2:例2では、開いた窓から Activity 1, 2 を選んでください)。

すらすら読めても理解していない⇒解決法:学校では
イギリスの小学校では Guided Reading という時間を設けています。本を読みっぱなしにするのではなく、理解力を養うために、先生と一緒に7~8人くらいのグループで本を読んでいき、子どもたちはいろいろな質問に答えていきます。そして、Year 2 ともなると、リーディングジャーナルというノートに、与えられた質問に沿って自分の思いを書いていくのです。
また、日ごろの先生とのリーディングの時間にも、いろんな話をしながら読むようにしています。こうして、理解力を養うのです。

ちょっと長くなってしまいましたが、ORT の落とし穴。ただただ、「読ませておしまい」にはならないようにお家でのサポートをお願いします。でも、これは何も ORT だけではないですね。日本語の本だって同じですものね。
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